「生身の人間」だからできること

相談窓口では、さまざまな人からのお電話をお受けします。
ハラスメントを受けた理不尽な思いをぶつけてくる人、
ハラスメントによってメンタルの問題を抱えたが生活があるので辞められないという人、、、
ハラスメントを受けたことによるつらい心情を訴える相談者は、
電話の向こうの温かいぬくもりが感じられるような「生身の誰か」に話を聴いてもらい、
自分の気持ちを認めてもらう場を求めているのかもしれません。
 
相談者の中には、ハラスメントがさらにひどくなることを恐れて匿名を希望し、
会社には詳しい内容は報告したくないと言う人もいます。
そういった場合でも、
「話を聴いてもらえたので少し落ち着きました。」
「気持ちがすっきりしたのでもう少し頑張ってみようと思います」
といった言葉をいただくと、私たち相談員も救われた気持ちになります。

相談員というのは、起きた出来事を正確に受け取って会社に報告する役目だけではなく、
人の心のケアをしていく役目も持っているのだと感じます。

オックスフォード大学所属のマイケル・A・オズボーン博士らが2014年に発表した論文
「雇用の未来」では、電話オペレーターは、AI(人工知能)により10年でなくなる
職業の一つにあげられました。そして実際、コールセンターのAI化は進んでいます。
その一方で、2030年までになくならない仕事として、
レクリエーションセラピストや歯医者、心理学者、メンタルヘルスカウンセラーなど
があげられています。AIが発達したとしても人の身体や心のケアは人にしか
できないだろうと予測されたのだと考えます。
私たち相談員は、「生身の人間」にしかできない対応を、
これからも目指いていきたいと思います。