話を「聞く」だけの相談・・・、

こんな相談がありました。数年前、上司からのパワハラがあり、当時社内に設け
られていた「ハラスメント相談窓口」に相談したそうです。この時は上司の名前
を出さずに。翌日、担当者が訪ねてきたそうですが、相談者の話を聞いただけで、
上司の名前を聞かれることもなく、特に何の対応もなかった。
状況は変わらず、、、相談者は、さらに、本社の窓口に相談したそうです。
今度は上司の名前を出して。すると、また同じ担当者が訪ねてきて、
「(加害者の)名前は出さないでよ」と言われたそうです。
相談者は、上司のパパワハラも許せないが、相談したのに会社としてきちんと
した対応がなかったことも許せない、と訴えました。

相談員は、相談者の心情を受け止めながらその思いを「聴き」、さらに、
当時の状況についてもう少し詳しく「訊き」ました。すると当時は、相談者自身
が、会社に対してこうしてほしいという「要望がなかった」ことが分かりました。
・・・・本当にそうでしょうか?もしかすると、精神的に参っていて、要望を考
えることすら出来なかったのかもしれません。どういう環境であれば働きやすか
ったのか、、、ということを、少しでも意識することが出来れば、具体的な要望
が見えてきたかもしれません。ただ、今、目の前で起きているハラスメントに参
っている状態では、1人で考えるのは難しいものです。そうした相談者には、
「一緒に考える」ようにしています。思いを「聴き」、状況を「訊き」、どうし
ていくのが相談者にとって良い方向になるのか「一緒に考え」ます。そうやって
相談者自身に芽生えてきた要望を、きちんと会社に伝えることが出来れば、
会社の対応も変わってくるのかもしれません。