「セクハラ配転」その後(パート2)

「許せない」・・・相談者にとって、何が、許せないのでしょうか。
相談の初めは、A氏によるセクハラ発言、行為、そしてA氏への恐怖
を話していた相談者。ですが、話が進むうちに、相談者は、B氏の
対応についての憤りを改めて感じたようです。
「許せない」・・・それは、A氏に対するものではなく、相談者とA氏
の経緯を知りながら、A氏を呼び戻したB氏に対する感情でした。
おそらく相談者は、A氏に対する「恐れ」とB氏に対する「怒り」
が入り混じり、自分でもよく分からない感情にモヤモヤしていた
のでしょう。言いたいことが言えずに過ごしていたのが、話を聴
いてもらうことで感情が整理され、「恐れ」と「怒り」を区別で
きたようです。相談者は、最後に言いました。
「話を聴いてもらって、胸のつかえが下りました」

B氏は数年前、出来うる配慮をしたのだろうと思います。ただ・・・、
今回、もしかすると、当事者ではないB氏は、A氏と相談者の経緯
を「過去のこと」と考えてしまったのかもしれません。
ですが、当事者にとっては、その出来事を「過去のこと」にする
のは難しいものです。むしろ、出来ない、と言ってもいいのかも
しれません。その心情に対する配慮が欠けていたように感じます。
相談者は言いました。「せめて、辞令を出す前に、こういう事情
なんだけど、大丈夫ですか?という一言があれば・・・」

今、職場のハラスメントに悩む人が増えています。この問題に対
し、あなたは被害者ですか?加害者ですか?それとも傍観者です
か?それらは、みんな当事者です。  
―職場のパワーハラスメントの予防・解決に向けた提言から抜粋―

ハラスメント対策は、みんなが当事者意識をもって考えるべきな
のだと感じます。