就活ハラスメント
ご存じの通り、現在はハラスメント(パワハラ、セクハラ、
マタハラ等の「意に反する言動」)に関する関係法令が整備
され、事業者が講ずべき措置が義務づけられています。
在職者に対するハラスメント防止に取り組むことはもちろ
んですが、採用前からの配慮も必要だと考えられるように
なってきました。人材を確保するための対策に取り組んで
いる人手不足の事業者も少なくないでしょう。採用時面接
が(応募者にとって)就活(就職活動)ハラスメントとな
らないよう、採用する側も心得ておくことがあるかもしれ
ません。専門家は就活ハラスメント検討会の調査結果につ
いて次のように指摘しています。
"就活ハラスメント検討会の調査では、学生が受けた行為の
うち、最も多かったのが「性別による採用差別やセクハラ」
で、2番目に「人権的な問題から就職差別につながるもの」
が続いている。とくに、「家族に関する質問」が多く、家族
構成、家族の年齢、勤務先、職業、年収などを聞かれている。
……中略…… 企業側は、思ったこと、感じたことをそのまま
表現しただけかもしれないが、学生は「ひどく尊厳を傷つけ
られた思い」をするのである。入社させたい学生だけに辞退
されないよう配慮するのではなく、すべての学生に対して尊
重の思いを持ち、一人の人間として配慮する。それが、結果
的に学生全体からの企業評価を高め、求めている人材の入社
率の引上げにつながるだろう。"
"【企業価値を守る就活ハラスメント防止への道】第5回具体
例と対応例②無自覚な言動に注意採用の予定ない学生でも/
木村節子"「労働新聞、令和6年11月4日第3471号10面掲載」
労働力不足とされている現在、特に人手が足りない業界の事
業者にとって、想定外の「選考辞退」、「内定辞退」は避け
たいものです。求職者(応募者)の心は期待と不安で敏感で
繊細になっています。採用前のハラスメントとして誤解され
ないよう、質問の内容、回答に対する反応、態度を心得てお
きたいものです。面接を受けた応募者が採用に至らなかった
としても、「企業イメージ」は面接をした応募者全員の心に
残り、社会に向けて発信される可能性もあります。採用する
にしても、しないにしても、お互いの立場を尊重できるコミ
ュニケーションを心掛けましょう。
前述の記事の内容(中略の部分)でも紹介されていますが、
採用時のハラスメント防止に向けて厚生労働省の「公正な
採用選考の基本」についての資料(公正な採用選考の基本|
厚生労働省)等が参考になるかもしれません。