セクハラ、女性被害者の複雑な心理と周囲の無理解
職場におけるセクハラは、依然として深刻な問題であり、多
くの女性がその現実を体験しています。しかし、被害者が女
性の場合、特有の理不尽な反応が加わることがしばしば見受
けられます。特に中小企業では、職場内の人間関係が密接け
あるために、被害者が適切に救済されることがなく、さらに
厳しい状況に置かれることが多くあります。
一例として、ある女性社員が上司からセクハラを受けた際、
会社に相談したところ、トップから「あなたが優しすぎるか
らだ」と軽視されたという事例があります。このように、被
害者に責任を転嫁し、問題を無視する態度は多くの職場で見
られます。加えて、同僚からは「子どもも産んだ妙齢の女が
抱きつかれたぐらいでガタガタ騒ぐな」と心ない言葉を投げ
かけられたという事例もあります。さらに、被害者は「ハニ
ートラップを仕掛けたのでは?」とまで噂され、被害者の苦
しみは二重にも三重にも増していきました。
ここで問いたいのは、なぜ被害者がさらなる屈辱を受けなけ
ければならないのかということです。相談しようにも「公に
するのは子供じみているのでは?」「うぬぼれていると思わ
れるのでは?」という心理的なブロックがかかり、声を上げ
ることが難しくなります。また、声を上げても、周囲の無理
解などにより、同様の心理的なブロックに苦しみます。
セクハラに対して声を上げることは、これほどまでにハー
ドルが高い側面を持っているのです。
では、この問題には、どのように対応するのが良いのでし
ょうか。
まず、セクハラというのはこのような性質を持ち合わせて
いることを十分に理解して、会社として対応する必要があ
ります。
企業全体が被害者の声を真摯に受け止めるための仕組みを
構築することが重要です。ハラスメントを訴える人が孤立
しないように、社内の相談窓口を機能させることも重要で
すが、被害者が報復を恐れずに声をあげられるように「匿
名で相談できる窓口を社外に設置する」等の対策も一法か
もしれません。
さらに、会社全体で意識を変えていくことが不可欠です。被
害を訴える女性に対する「騒ぎすぎ」や「被害妄想では?」
といった偏見を排除し、加害者ではなく被害者の視点から
問題を考える文化を育むことが求められます。
職場は誰にとっても安心して働ける場所であること。
セクハラを受けた側が疑われたり孤立したりしないこと。
被害者が声を上げやすい環境を整え、組織として適切に対
応することが求められています。
あなたの職場では、被害者の声をしっかりと受け止める体
制が整っていますか?
見過ごされるハラスメントを放置していませんか?
この問題に取り組むことは、私たちの責任ではないでしょ
うか。