ハラスメント「被害者は誰か・・・?」実際に合ったこんなケース
職場でのハラスメント問題は、被害者と加害者の関係
が複雑であることが多く、判断が難しいケースも少な
くありません。
例えば、こんなケースがありました。
ある従業員(Aさん)が持病を理由に業務に支障をき
たしていました。ほかの従業員からは「あんな人は
辞めさせてほしい」という声も上がり、上司は配慮し
ながらも業務改善を求めました。するとAさんは突
然連絡もなく出社しなくなり、逆に上司をパワハラで
訴えて、退職。会社は事実確認も不十分なまま、上司
を「加害者」として扱いました。結果、その上司も失
意のうちに退職しました。
では、このケースで本当に「加害者」と「被害者」は
明確だったのでしょうか。
ハラスメントは「個人の問題」ではなく「組織の問題」
このように、ハラスメントの現場では、一次被害者・
加害者だけでなく、周囲の人間関係や感情、組織内の
対応の仕方によって、二次被害が生まれることもあり
ます。
だからこそ、「誰が悪いか」ではなく、「どうすれば
防げたか」を組織全体で考える必要があります。
そのために必要なのが・・・
「ルールの明文化」「研修」「相談窓口」
1.就業規則におけるハラスメント防止規定の整備
就業規則に「ハラスメント行為の禁止」「相談体制」
「調査の方法」「対応方針」を明記しておくことで、
問題が起きたときに会社としてのルールに基づいて判
断・対応できます。これがないと、対応が場当たり的
になり、今回のように「対応した人」まで傷つけてし
まう事態が起こり得ます。
2.定期的なハラスメント研修の実施
上司や従業員が「何がハラスメントに該当するの
か」「対応するときに気をつけるべきこと」などを知
っておくことで、感情的な行き違いや誤解を防ぎ、組
織としての共通理解を育てることができます。
3.社内ハラスメント相談窓口の設置
誰にも相談できずに孤立したり、我慢が限界を超え
て爆発する前に、「誰かに話せる場所」があることは
非常に大切です。上司でも同僚でもない「中立な相談
窓口」があることで、事態が大きくなる前に対処でき
る可能性が高まります。
最後に
大切な従業員を守るためには、誰か一人が背負うので
はなく、組織としての仕組みをつくることが欠かせま
せん。「うちの会社には関係ない」と思っていても、
ちょっとした一言、ちょっとした配慮不足からハラ
スメント問題は始まります。
だからこそ今、「ルール」「教育」「相談体制」を見直
してみませんか?