【Z世代が感じる“新しいハラスメント”とは?】

◆価値観のズレが“ハラスメント”と認識される時代へ
「昔は根性で乗り切った」「自分も厳しく叱られて成
長した」——かつては美徳とされていた言動が、今で
は“価値観の押し付け”と受け取られることもあります。
とくにZ世代は「共感」や「個の尊重」を大切にし、
上下関係や年功序列といった旧来の構造に違和感を
抱きやすい世代です。世代間での“常識”のズレが、意
図しないハラスメントの火種となる場面が増えてい
ます。

◆事例:「終電まで働いて一人前」——励ましが、
 心の傷になることも
あるZ世代の新入社員は、上司から「俺たちは終電
まで働いてようやく一人前だった」という昔話を聞
き、「今の自分はダメだと言われたようで、否定さ
れた気持ちになった」と感じてしまいました。
上司としては励ましや経験の共有のつもりでも、価
値観が異なる相手にはプレッシャーや批判として伝
わってしまうことがあります。こうした“ズレ”がきっ
かけで、信頼関係が揺らいでしまうこともあるのです。

◆決めつけずに、一歩立ち止まる対話を
「最近の若者はすぐ怒る」「それはハラスメントで
す!」——こうした反射的な決めつけは、世代間の
対立を生みやすくします。
重要なのは、感情的な反応ではなく「なぜそう感じ
たのか」「なぜその言葉を選んだのか」を、立ち止
まって共有する姿勢です。対話が不足したままでは、
誤解や溝は深まる一方です。

◆職場は“共育”の場——共に学び、共に成長する
若手にもベテランにも、それぞれに培ってきた価
値観や正しさがあります。
だからこそ、職場は一方的な「教育」ではなく、
お互いに学び合う「共育(きょういく)」の場であ
ることが望まれます。世代や立場を超えて、相手
を理解しようとする姿勢が、組織全体の信頼を育
てていくのです。

◆ハラスメントの定義は、時代と共に変わっていく
かつて当たり前だった言動が、今では問題とされる
——そうした変化の中で、私たち一人ひとりに求め
られるのは、「柔軟さ」と「傾聴」の姿勢です。
正解が一つではない今こそ、相手の感じ方に寄り
添いながら、働きやすい職場づくりを目指すこと
が大切です。

◆工夫を重ねて、“対立”から“対話”へ
職場の課題に「これさえやれば大丈夫」という
万能薬はありません。でも、小さな工夫を積み
重ねることで、価値観の違いは対立ではなく“対
話のきっかけ”に変えることができます。
ハラスメントの芽を摘むのではなく、共に育て
合う文化を根づかせていく——そんな職場を、
私たちと一緒に目指していきませんか?