「〇〇さん、おはよう」の魔法 

〜名前を呼んで挨拶するということ〜

ある日、仕事のことで同僚と険悪な空気になりました。
私のやり方について「それは違う」と指摘されたので
すが、ミスをしたわけでもなく、単に手順や考え方が
違っていただけでした。
しかも指摘してきたのは、上司や先輩ではなく、た
だの同僚。
「なんでそれがいけないの?」と口論になってしま
い、上司があわてて仲裁に入ってくれたものの、
事情を詳しく聞くこともなく、「どっちのやり方で
もいいから、仲良くやって」と言われて終わってし
まいました。
私はというと、同僚に上から目線で偉そうに言わ
れたように感じてしまい、そのままモヤモヤした
気持ちで帰宅しました。

でも、翌朝のことです。

その同僚が出勤してすぐに、
「〇〇さん、おはよう!」と、名前を呼んで、
にっこり挨拶してくれたのです。

その声があまりにも明るく、元気で、自然で――

一晩中モヤモヤしていた私の心が、ふっと軽くな
った気がしました。その後、「昨日はごめんね」
と素直に声をかけることができたので、二人でお
互いのやり方についてゆっくり話すことができま
した。
職場では、いろいろな価値観や背景を持つ人が
一緒に働いています。すれ違いや意見の衝突は
避けられないのかもしれません。

でも、だからこそ――

ちょっとギクシャクしてしまった相手にこそ、
「〇〇さん、おはよう」と名前を呼んで挨拶し
てみてはいかがでしょうか。魔法のような力が
あると思うのです。

それ以来、私はイライラしている時や、なんと
なく心がザワザワしている時こそ、相手の名前
を呼んで挨拶することを心がけています。