職場の「上司」に話すきっかけに

 窓口にお電話くださる方の中には、「ハラスメントだと認定されなか
ったら、相手との関係が悪くなるだけ」「こんなこと、上司にも相談で
きないし・・・」と相談自体を迷い、なかなか本題に入れない方もいら
っしゃいます。そうした方々には、「相談して大丈夫」と背中を押して
もらいたい、という気持ちが、少なからずあるように感じます。
そこで、相談員は、相談すること自体を迷ってしまう、その気持ちも
受け止めつつ、まずは、お話しいただくようにお伝えします。

「どんな些細なことでも、あなたが今、そのことで働きづらさを感じて
いるのなら、それは安心安全な職場環境とは言い切れない、ということ
なのかもしれません。どうぞお聴かせください」
そんなお声がけから始まり、相談者の思いの丈をお聴きします。
 そして具体的な出来事などをお聴きして、、、確かに「ハラスメン
ト」の定義にまでは届かないケースも多々あると、感じます。とはい
え、それは、「今、現時点では」なのかもしれません。この関係性を
このままにしておくと、相手の言動がエスカレートしていくこともあ
るかもしれません。だって本人は、人の心を傷つけている自覚がない
のでしょうから。。。そんなことを話していくうちに、相談者自身が、
「今はハラスメントとまで言えなくても、上司に相談してもいいこと
なのだ」と気付くこともあります。やはり、職場内で問題解決を図れ
ることが一番だと思います。ただ、「上司に相談していいものか」と
感じていた相談者は、職場内で相談できず、窓口にお電話くださった
のだと思います。電話してみたものの、「相談していいのか・・・」
と迷っていたのでしょう。相談員と話すことで、上司に相談する勇気
が持てたようです。
 冒頭では、「上司には相談しづらい。うまく話せる気がしない」、
そうおっしゃった相談者が、最後には「今、あなた(相談員)に相談
したように、上司に相談すればいいんですよね。まずは上司に相談し
てみます」と、清々しく話してくださった方もいました。相談員は、
相談者の、そのお考えを支持します。