皆が嫌われてることを恐れている職場(パート1)

 ある従業員の言動を、職場の皆が「迷惑行為」と認知しているのに
誰も注意しない、何も改善しない、会社は見て見ぬふり・・・
ちゃんとやっている人たちは皆、我慢し続けなければならないのか?

今回はこのような相談事例についてご紹介します。

「60代パート女性(以下Aさん)は、いつも職場をうろうろ歩き回
っては、他の従業員の噂話や、その場にいない従業員の悪口をとに
かくずっと言いふらしている。皆とても不快に思っているけど、癖
の強い人だから「触らぬ神に祟りなし」と言わんばかりにその場そ
の場で調子をあわせている。管理者も同様に調子をあわせている。
以前、誰かが注意した時には、すごい形相で「それってハラスメン
トですよね」と言われたらしい。そうすると、「この人と関わり合
うことは、自分がハラスメントの行為者となりうることだ」と考え
るようになりそれ以降、前にも増して誰も何も言わなくなった。
一度人事部門に相談した者もいるが、「なるべく関わり合わないよ
うにしてください」と言われるのみで対応はとられなかった。
Aさんの興味対象は、職場で働く従業員本人のみならずその家族に
まで及ぶ。
「〇〇さんの子どもは××大学に行った。あんなに学費の高い大学
に行けるなんて旦那の稼ぎがいいに違いない」という類の話をみ
んなに聞こえるように大声で話す。実際、家族のことまで根ほり
葉ほり聞かれ、極めて不快な思いをしているものの、態度を悪く
すれば、今度はAさんの悪口対象になってしまうためそのような
場面でも調子をあわせることが無難な選択だと判断することとな
る。周りで見ている人は、「やっぱAさんって強烈。関わり合い
たくない」と思いながら迷惑行為を受けている人を守るでもなく
ただただ静かに息をひそめている。
ある時ついに、Aさんの言動を理由とした退職者がでた。「皆が
聞いている前で家庭の事情を詮索されとても辛かった」と、申し
立てたらしい。さすがに退職理由としてあげられれば、会社とし
ても放置するわけにもいかず「あなたの言動が理由で辞めた人が
いる」と本人に伝えてみたが
「彼女の退職は職業選択の自由の結果であり私の責任ではない」
と答え一切の反省を示さなかったらしい。そして今なおその迷惑
行為は続いている。たった一人の問題行動のためにその職場で働
く全員が働きずらくなっているのに、注意をすればハラスメント
と言われてしまう。誰も注意することができないままちゃんとや
っている人たちは皆、我慢し続けなければならないのか?」