SOGIハラ 性自認侮辱による労災を認定
心と体の性別が異なるトランスジェンダーの会社員がうつ病を発症したのは、
先輩社員からの性自認を侮辱する言動(SOGIハラ)が原因として、
神奈川県内の労働基準監督署が労災認定を行っていたという報道がなされました。
勤務先の会社は先輩社員に対して言動を改めるよう指導しましたが、
その後も同様の言動が続いていたそうです。
労働施策総合推進法に基づくパワハラ防止指針では、
パワハラの類型の1つである「精神的な攻撃」の例として、
相手の性的志向・性自認に関する侮辱的な言動を挙げています。
本件においては、性自認が女性である会社員に対して、
本人の希望に反して先輩社員が「彼」「〇〇君」と呼び続けたことなどを
「侮辱」と判断しています。
同社は、本人から性自認のカミングアウトを受けた後、
会社員を女性として扱うよう指示し業務上の接点を持たないよう、職務変更も行っています。
会社側はハラスメントの防止・是正に向けて一定の取組みを行っているように見えますが
「先輩社員」の言動を抑えられなかったとして労災認定につながっています。
それを踏まえれば、企業としてはすべての従業員にハラスメントの具体例を周知するとともに、
防止の重要性を理解させておく必要があるといえます。
さらに、ハラスメントと疑われる行為が行われた場合には被害を最小限に留めるため、
迅速に実態を把握し、適切に対応できる体制を整えておくよう心がけたいものです。