「同調圧力」加害者となってしまった人の心の声

「同僚が上司からパワハラを受けている。助けてあげてほしい」
そんな訴えを話した相談者がいました。
パワハラの場合、当事者ではなく、第三者から相談を受けることも
あります。「見ていられない」「許されるべきことではない」とい
った第三者の視点、正義感からの相談もあります。相談員として、
それはとても良い風潮だと、感じています。

ですが、その日の相談者は、何か違いました。具体的な事象にな
ると言葉を濁、なかなか本心を言えていない様子。
「とにかく、同僚を助けてあげて」しか言わなかった相談者・・・。
じっくりゆっくり、その心情を探っていくと、実は、相談者自身
が「自分も加害者」ということが分かりました。

相談者は、上司から、「こいつ(同僚のこと)、ほんとに使えな
いよな。お前もそう思うだろ?!」とみんなの前で振られ、
「ホントですよねーー。同期として恥ずかしいですよ」と、つい
言ってしまう。同調圧力があるのでしょう。そのことをとても悔
やんでいました。とはいえ、同調圧力をはねのける勇気がない。
そして、同僚に申し訳なく感じながらも、同僚を救うどころか追
いつめている自分をとても責めていました。上司にも同僚にも、
本心は言えず・・・、悩みぬいてお電話くださったのだと思います。

相談員が、同調せざるを得ない相談者の立場を受容しながら
“心の声”を聴いたところ、相談者は、本音を吐けたことで少し
スッキリしたのでしょう。被害を受けている同僚に、相談者自
身の本心本音を話すことにしました。相談員は、その考えを支
持して、被害を受けている同僚自らの相談をお勧めしました。
「なんでも話せる窓口だから話してみるといいよと、勧めるこ
とができます」最後には清々しくそう言って、その相談は終了
しました。

第三者からの相談・・・、それは当事者ではないにしても、何か
しらの心の動きがあっての相談だと思います。出来事の当事
者ではなくても、この相談の主役は相談者です。その相談者
には、きっと事情があるのでしょう。上記のように、同調圧
力、空気を読む、忖度・・・。そんな風潮によって、自身の意
にはそぐわない反応をしてしまい、そんな自分を悔やんでし
まうこともあるでしょう。そうした思いにも寄り添いつつ、
相談者にとって、当事者にとって、よい方向性を一緒に考え
ていきたい・・・。相談員は、そう願っています。