『労基署に行く』と言うことの真意

相談をお受けしていると、「労基署」というキーワードが出てくることがあります。
それは10年以上前からしばしば出てくるキーワードでしたが、
使われ方が変わってきたと感じます。

以前は、「会社が対応しないなら、労基署に行こうと思っている」
と言う方がほとんどでした。その心理としては、言葉通り
「対応してくれないなら、法的手段に訴える」
という会社への警告もあるのでしょう。しかしながら、その奥には
「法的手段をとる前に、何とか対応してほしい」
「ここまで覚悟して相談したことを理解してほしい」
といった、会社へのSOSが込められていたのだと感じます。

昨今では、
「労基署に相談に行ったら、会社の相談窓口への相談を勧められた」
と言う方が増えました。そして、労基署の人が言っていた見解を
会社に伝えます。その心理は、、、
「自分の主張は正しいと、労基署で裏付けは取れている」
と会社に伝えたいといったところでしょうか。
でもやはり、それだけではなく、その奥には
「だからきちんと会社に対応してほしい」「この状況から救ってほしい」
といった、会社へのSOSが込められているのだと感じます。

一方、会社の担当者からは、
「『労基署に行く』と主張されたらどうすればいいのか」
といった相談を受けることがあります。
そんな時は、その言葉を表面的にとらえるのではなく、
その意図や真意、、、相談者の心理の奥が分かるまで聴き込むこと、
そしてその「思い」をまずは受け止めることをお勧めします。
私たち相談員も、相談者の「思い」を引き出すように話を聴き、
その「思い」を会社に伝えることを相談者にお勧めしています。
相談者の「思い」・・・相談者と会社の担当者の間で、
しっかりと共有できますように・・・そう祈りながら。